こん◯◯は、ikarushです。
TRPGプレイしていますか?
私ikarushは機会なく、この自作シナリオ作成法のブログ記事を書き始めた直後と同様の状況です(苦笑)。
これまで自作シナリオ作成法として、自分で練り上げた方法を紹介。
TRPGシナリオ・フレームワークと題して、以下の式に根差した自作シナリオ作成法を案内してきました。
(オリジナルシナリオフック+シナリオランダム決定)×NPCの立ち位置
その自作シナリオ作成法の解説も、今回で終了となります。
今回のテーマは「5つの見直しエッセンス」と題して、これまで紹介してきた作成法で自作したシナリオの良し悪しを確認する方法について。
また「面白い・分かりやすいシナリオとは?」という非常に難しい部分について、私ikarushの持論を含めた内容をお伝えし、それを持って「より良いシナリオにする方法」を考えたいと思います。
という事で今回のテーマ「5つの見直しエッセンス」は、以下の疑問・質問をお持ちの方に刺さる内容になっています。
- 自分で考えたストーリーが単調な気がする
- ネタの引き出しが少なく似たようなシナリオばかり作ってしまう
- TRPG以外の小説やゲームのシナリオデザインに活かしたい
- 「話の展開が分かりづらい」と言われた事がある
- ちょっとしたアイデアをシナリオに盛り込みたい
- そもそも「面白いストーリー」が何かわからない
これまでに紹介してきた自作シナリオ作成法と合わせて、今回の記事を読み解き実践すれば、完全に自分で作成したオリジナルシナリオで、みなをワッと言わせる事が。
そして面白いシナリオだと言ってもらう事が出来るでしょう。
これまで紹介してきた「自作シナリオ作成法」についての記事は、以下からご覧ください。
TRPG自作シナリオ作成法 #5【5つの見直しエッセンス】
今回のテーマ「5つの見直しエッセンス」の結論は以下の通りです。
道理性:ファンタジーや現代、スチームパンクなどの世界観にあったモノの考え方捉え方をすること
奇抜さ:プレイヤーが想像していない展開を提示すること
伏線:回収できる伏線と回収できない伏線を上手く使い分ける
明確なゴール:シナリオの最終目的をシンプルに明確にすること
ひとつひとつ、詳しく解説していきます。
見直しエッセンス①:普遍的
内容を語る前にまず、普遍的という言葉の意味を確認します。
「普遍的」の意味は「ある範囲におけるすべてのものに当てはまるさま」です。
「普遍」は「あまねく行き渡ること」「すべてのものに共通に存すること」を表します。
「的」は「その性質を帯びる、その状態をなす意」を表します。(中略)
このことから、「普遍的」が「極めて多くの物事にあてはまるさま」「すべてのものに共通しているさま」という意味であることが分かります。
「普遍的」の意味と使い方、読み方、類義語 / 対義語、「一般的」との違いを解説! | 英語部
う~ん、ちょっと分かりづらいかな(苦笑)。
「普遍性」とか「普遍的な」という意味をもう少しかみ砕いて解釈すると、「万人にとって分かりやすい」「ベタ」や「王道」という意味で理解してもらえると嬉しいです。
【参考】「ベタな映画」にみられる「王道」と「普遍性」 ― 2018年、アカデミー賞有力候補作品から | THE RIVER
いくら面白いシナリオとは言え、設定が込み入っていてこれまでに触れたアニメやマンガなどの作品からかけ離れた内容になると人は混乱します。
例えば映画『ラバー』は、「人を殺戮するタイヤ」がテーマのエスプリが利いたホラー作品ですが、終始説明がないため「そもそも何故タイヤが人を殺すのか」が意味不明なため一般ウケはしません。
同様に天地逆向き世界を紡ぐ恋愛(?)作品の『サカサマのパテマ』も、天地逆向き世界に「なぜ?」という疑問を抱き続けたならば、作品の面白さはわかりません。
特にTRPGをプレイする際に映像はおろか、絵(イラスト)なども用意が難しいため、ファンタジーやホラーなどの世界観を突き抜けた内容は、プレイヤーに理解してもらえません。
シナリオを一言で言い表せられ、且つそのシナリオが「プレイするゲームの世界観に合っているか」は非常に大切な要素です。
個人的に「おつかいシナリオ」や「魔物の退治依頼」など、一言で分かる普遍的なシナリオである事を出発点に、そこから「如何に面白くするか」が重要であると考えています。
見直しエッセンス②:道理性
タイトルは道理性となっていますが、もう少し言うと「道理にかなった構成」というものが良いだろうと感じています。
先回のシナリオ設計作業と合わせて、シーン制を利用した起承転結に根差したシナリオプロットの組み立て方の話をしました。
その中で「シーン制」そのものの話は割愛したのですが、シーン制には「GM(ゲームマスター)が設定するシーン(場面)以外をすっ飛ばす」という機能が盛り込まれています。
例えばの話、ファンタジー世界で旅をして夜は野営をして、敵襲に備えて見張りを立てるような場面。
こんなシーンは映画やアニメなどで見る事が出来ますが、シーン制シナリオの場合「GMが不要」と考えれば、このようなシーンはありません。
それ以前にGMやPL(プレイヤー)が、時間の概念を細かく考えなければ「瞬間移動のように」次のシーンに移行します。
それが街から3,000km離れた火山のふもとの大洞穴の奥深く、凶悪なエンシェント・ドラゴンと戦うシーンまで何もないとGMが考えるならば、「じゃ次のシーン行くよ~」の音頭1つでドラゴンとの戦いが始まるのです。
これはこれでシーン制としては普通なのですが、時間的道理を考えるならば「いやいや、街の次にドラゴンて…」と思う人が大半でしょう。
TRPGには基本的に「ルールはGMの判断で一時的に解釈を変更してもOK(もしくは間違ったとしても、間違った事をぶり返さずに後からルールに則ればOK)」というゴールデンルールが備わっています。
この判断についてGMがどんぶり勘定で物事を解釈すれば、10km先の米粒だって見えますし、重装鎧を着たひ弱な幼女でも5mの川を難なく飛び越えることが可能です。
物理法則に徹底的に則ってのプレイをして欲しい訳ではありませんが、ある程度「常識」を踏まえた物事のとらえかた、道理に則った解釈でお話を進めてた方が、誰もが納得できるだろうと考えています。
見直しエッセンス③:奇抜さ
①の普遍的と真逆の内容になりますが、奇抜さも重要な要素です。
というか普遍的で分かりやすいお話しは良いですが、1本道の1本調子ではそのシナリオは陳腐化します。
毎回、ご老公様の印篭を出してハハーッとひれ伏して、ジジイがニコリと笑顔で終わりが続くと…人は飽きます。
たまには「そんな印篭がなんだ!全員切り捨てろ!」と異なった展開があると、人は「お?」と思う訳です。
奇抜さの良し悪しの物差し、それは「PLが想像していなかった展開を挿むこと」です。
例えば王道の「おつかいシナリオ」。
依頼人から「AさんにアイテムBを渡してほしい」というクエストです。
これを少し発展させて「AさんにアイテムBを渡してほしい」という依頼と、別の人物から「Aさんのところに行く途中のCでは山賊が出る」という情報を与えます。
そしてGM側では山賊はアイテムBを狙っているという情報を隠し持っておいて、PLがCに近づくと執拗に山賊が狙って来るという展開にします。
仮に1度退治しても襲い掛かってきたり、山賊以外からも狙われるような事になれば、「なんで?」と思う事でしょう。
さらに山賊のボスが、PLに「Cには山賊が出る」と話していた張本人…みたいな筋書きだとさらに面白味があるかもしれません。
ちょっとした事ですが、別の視点を入れる事でシナリオに変化が生まれます。
その変化こそが奇抜さになるのです。
見直しエッセンス④:伏線
まず伏線とは何か。ウィキペディアの解説を見てみます。
伏線は、物語や作劇上の技術のひとつで、物語上において未来に起こる重要な出来事を、些細なかたちで前もって暗示しておく手法である。読者や聴衆の失望を回避するため、あるいは感興を引き起こすために用いられる。時には登場人物によるはっきりした予言といった形をとることもある。
伏線|ウィキペディア
個人的に伏線は大きく2種類あると思っています。
それは「回収できる伏線」と「回収できない伏線」です。
回収できる伏線とは、上記したウィキペディアの解説通り“未来に起こる重要な出来事を、些細なかたちで前もって暗示しておく”ものです。
シナリオのエンディングで伏線として示したものが判明するパターンや、次回持ち越しなどで回収することもあるでしょう。
もう1つの回収できない伏線とはいわゆる「ウワサ」話です。
先の奇抜さのなかで伝えた「Cに出没する山賊」をウワサとして流すだけで、PL達は山賊がエネミーとして登場する事を疑わないでしょう。
そして山賊ではなくタヌキやキツネの化かし話や、休憩中にトンビ(鳶)にアイテムを取られるなんて展開も良いかもしれません。
上手く使えば「奇抜さ」と「伏線」を噛み合わせて使う事が出来ます。
ただ「回収できない伏線」には注意も必要です。
回収できない伏線を必要以上に提示すると、PLは思うような行動ができなくなったり、話の最後で回収されない伏線であることを知って残念に思う事があります。
もう1つは「金銀財宝やレアアイテム」を伏線として出すパターン。
これまでウワサとして回収できない伏線を実際に試した事は多々ありますが、当初予定していたシナリオそっちのけで、ウワサ話の追及を始めてしまう事もありました。
その多くは「財宝が手に入る」や「レアアイテムが手に入る」という構図です。
その伏線アイデアは回収できるのか出来ないのか。
そして回収できない伏線の場合、PLがどのように感じるかまで考えて情報を出す事が出来れば、ストーリーに深みを与えられるようになるでしょう。
見直しエッセンス⑤:明確なゴール
これは言葉通りです。
ゴールとはシナリオの目的の事。
キャンペーンにせよ単発セッションにせよ、シナリオで掲げられたミッション(≒依頼)は出来るだけコンパクトにした方が、シナリオの達成感をより感じることが出来ます。
固有名詞盛りだくさんで何を達成すれば良いのか分からないシナリオは、PLの行動が鈍くなってしまいます。
シナリオが普遍的であるという事は、最終的なゴールが分かりやすいという事にもなります。
RPGのクエストはよくツリー構成になりがちです。
上記例のようなものは総体としては長大になりますが、1つ1つのシナリオは小分けできますね。
ビジネスにおけるプロジェクト運用も似たようなところがありますが、ゴールが明確でチーム全員の目的が分かっていれば、行動も迅速で統率もとれます。
キャンペーンクエストで大きなお話を考える際でも、1つ1つのセッションのゴールは明確にしないと何のための行動かが分かりづらく、それ故に動作が鈍くなってしまいます。
TRPG自作シナリオ作成法 #5【5つの見直しエッセンス】:まとめ
まとめとして、今回のテーマである5つの見直しエッセンスの概要をリマインドします。
道理性:ファンタジーや現代、スチームパンクなどの世界観にあったモノの考え方捉え方をすること
奇抜さ:プレイヤーが想像していない展開を提示すること
伏線:回収できる伏線と回収できない伏線を上手く使い分ける
明確なゴール:シナリオの最終目的をシンプルに明確にすること
ちなみにですが「お話の面白さ」は人それぞれで、明確に誰にでもウケるストーリーは存在しないと思っています。
お話の深読みが大好きな人は、子ども向けのポップコーン・ムービーでは楽しめないでしょうし、独特の世界観やハードボイルド作品を若い方が理解するには難しいでしょう。
今回ご紹介した5つのエッセンスは、あくまで自分ikarushが捉えた「お話の要素」です。
この要素を自由に変更して自分なりのエッセンスを組み立てて、自作シナリオ作成に活かしてもらえたら嬉しいです。
次回は、これまで紹介してきた内容を振り返りながら実際のシナリオ作成を行うほか、#1で取り上げたオリジナルシナリオの他の作例をご紹介したいと思います。
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