なぜコールセンターはうつを生むのか【原因を考える】

電話に疲れた人

以前、以下のブログ記事にて自身がコールセンターの仕事をする中で、うつ気味な症状になった、その経緯をお伝えしました。

そしてその結論として「コールセンター業務はうつになる危険性がある」という話をしました。

そのような訳で、なぜコールセンターはうつになりやすいのか

今回はこんな疑問を考えます。

なお先に結論を言うと仕事量呼損率、それから人間関係

そして全体としての量は多くないけれども、いつ出くわすとも分からないクレームなどがうつの原因であると考えています。

なぜコールセンターはうつを生むのか【原因を考える】

まずはうつを生む原因から考えていきます。

私自身のうつ気味な症状の要因長時間労働と、その症状を感じた後に抜本的な気分転換があまり出来ない事が問題だったと感じました。

とはいえ、これは職場を退職した後の感想。

現場を離れて時間が経過した後、自身で感じた次第です。

その他、賃金の問題や日常生活の中でも気分転換をしづらいなど、個人的な理由もあります。

ちなみに当記事は「コールセンター×うつ」というテーマで書いていますが、コールセンターを従事する全ての人がうつ、うつ予備軍という訳ではありません。

そこは前もってご承知ください。

と言うのも冒頭でうつになる原因として仕事量や呼損率、人間関係などを挙げましたが、これらについて問題なく日常生活も平穏で幸せな環境にある方については、うつとは無縁だろうと感じています。

それにわざわざうつになる職場に誰だって行きたがりませんし、そこまで過酷な労働かと問われると、全くそんな事はありません。

これらうつと仕事の関係はどの企業、どの職場にも言える事ですが、しかしながらうつになりやすい危険性はコールセンターという場所では高いように思えますので、その点について考えていきます。

要因その①:仕事量(受電量・架電量)

忙しい人々

まず1つめは仕事量についてです。

これはインバウンド(受電:電話を受ける業務)やアウトバウンド(架電:電話をかける業務)、現場の入電量(電話が掛かってくる多さ)によっても差がありますが、いかに簡単な話の内容の電話だとしても、ひっきりなしに休みなく対応に迫られれば誰だって疲れます。

近年、日本経済全体で少子化の影響からか労働者の減少が叫ばれるようになっており、それはコールセンター業界でも同じ。

さらにはうつを感じるなどの体調不良から現場の人数が減少する傾向にあり、そのため1人当りの仕事量も年々増えているものと思います。

休みなく電話に出て、クレームではないですが客に多少嫌味なことを言われ、休憩は1人で静かに過ごし、また電話をして帰る。

そんな生活を続けるならば、誰だってうつなどの病的な症状になるでしょう。

運営サイドであっても人員リソースの問題はコールセンター業界全体を通じて存在しますが、これまで通り電話業務でまかない続けるのか。

その運営体制そのものが岐路に立っているのではと感じます。

要因その②:呼損率

①に挙げた仕事量にも比例するものなのですが、呼損率とは電話を掛けたのにオペレーターに繋がらなかった、保留音が流れ続けて繋がらないので切った場合などに上昇する数値のこと。

コールセンターはお客様対応を通じて感謝されてナンボなので、この呼損率が高い現場というのはお客様満足度も低いコールセンターだと解釈されます。

SVなどセンター内の管理運営責任者は呼損率などで評価されることが多く、そのため多くのコールセンターがこの呼損数を小さくする事に躍起になり、出来るだけ待ち呼(電話を掛けてもオペレーターに繋がらず待っている電話の本数)を少なくする。

つまり出来るだけ電話に出続ける事を強要されます。

それがために仕事量増加、休憩時間の減少もしくはシステム化(昼休憩以外は◯分と決めるなど)、新人の研修期間は短く速いデビューが求められる。

座り仕事とは言え、常に電話の向こうにいる客と向かい合わせでいる必要があり、精神的な疲労度(ストレス)は高くなります。

うつになる危険性をはらんでいると思って間違いありません。

要因その③:人間関係

人間関係

事務仕事の現場で人間関係と言うと、昭和のドラマなどで見受けられた「お局様が…」みたいな上司からの辛辣なまでのいやがらせ。

学生のイジメのようなものが考えられます。

そして最近ではセクハラやパワハラなど、精神的な影響を及ぼす問題も多々あるのが実情。

もちろんコールセンターでも、このような問題が無縁ということはありません。

ただ個人的に思うのは、受電環境でままある「私語厳禁」のような職場は、横のつながりを生ませない場と言えます。

事実私が色々な現場に就業してみても、最初の研修機関では仲良く話をしていても、その後現場に入って受電の毎日をすると、徐々にその関係が薄れていきます。

多くのオペレーターが横のつながりを保てず、上司や派遣元企業との縦関係が強くなり、結果仕事の悩みが解決できぬままになる。

ちょっと極端な話かもしれませんが、仲間同士で相談やグチを言えないと言うのはスレトスを貯め込み続ける原因にもなり、気分転換が難しくなることから病む事につながるだろうと感じます。

要因その④:クレーム

前回、「クレーム種別とその対策」というテーマについて書きました。

コールセンターに来るクレームを分類して考える

2019年2月25日

とはいえ、「クレーム1つでうつになった」という方はあまり聴いたことがありません。

もちろんクレームが好きな人間など存在しないと思いますが、クレーム単体でどうのと言うよりも、これまで挙げた息もつかせぬ仕事量やストレス発散できぬ状況などと合わさって、クレームが引き金になるという事は十分にありえます。

クレームについても人間の尊厳を踏みにじる暴力的な内容であればあるほど、うつになる危険性はかなり高いです。

人格を否定し追い詰められ、現場では「仕事だし仕方ない」と客に好き放題されるような環境であれば、短時間でうつ症状は芽吹き悪化するでしょう。

自分もそうですが、顔も知らない他人から怒られ暴言や否定の言葉を言われ続けると言うのは、かなり精神的につらく重い心労になります。

なぜコールセンターはうつを生むのか【原因を考える】:まとめ

うつになった人

今回はコールセンターでうつになる原因を考え、以下の4つの要素を中心にお話ししました。

コールセンターでうつになる要素
・仕事量(受電量・架電量)

・呼損率

・人間関係

・クレーム

もちろんうつになる要素がこの4つだけという事はないでしょう。

冒頭にお話しした通り、私の場合は賃金の問題や気分転換が思うように出来ない事を上げました。

人によって家庭に事情がある方など、様々な問題があると思います。

ただコールセンターのクレーム以外にも、その運営システムなど多様な問題があり、日々オペレーターは仕事をする上で様々なストレスを受けているという事を理解いただければ嬉しいです。

と言う訳で今回は「うつになる原因」をお話しました。

次回はそのうつを、いかにして対処するか。

うつの対策について考えたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です