ども、ikarushです!
前回は自作シナリオ作成法の根幹の部分。
自作シナリオ作成法のTRPGシナリオ・フレームワークである、下記内容の前半部分について。
(オリジナルシナリオフック+シナリオランダム決定)×NPCの立ち位置
「オリジナルシナリオフック」として、ゲームに参加するプレイヤーに興味を持ってもらう視点を考慮しながら、物語にオリジナル性を持たせるアイデアを。
そして「シナリオのランダム決定」では、D66シナリオランダム決定表を用いたカンタンなシナリオ作成方法を解説。
さらにこの2つを掛けあわせる事によって、通り一辺倒ではないオリジナル性溢れるシナリオの骨組みを生みだす方法についてお話しました。
今回は、TRPGシナリオ・フレームワークの後半部分である「NPCの立ち位置」について、詳しく解説をしていきます。
この内容を理解して実践すれば、「思いつき」や「ダイスロール」の組み合わせからカンタンにオリジナルシナリオが作れます。
多くの人がどうすれば良いか迷う問題。
・ネタの引き出しが少なく似たようなシナリオばかり作ってしまう
・TRPG以外の小説やゲームのシナリオデザインに活かしたい
・ちょっとしたアイデアをシナリオに盛り込みたい
・仲間と即興レベルでセッションやりたい
・何本かシナリオを量産したい
こんな悩みを解決できますので、内容を読んでぜひ実践してみてください。
TRPG自作シナリオ作成法 #3【NPCの立ち位置設定】
今回は詳しい解説抜きに、まずネタバレ的に結論をお伝えします。
このフレームワークで設定するNPCの立ち位置は5パターンあり、それは以下のようなものになっています。
2. 協力的な間接関与
3. 対立的な直接関与
4. 対立的な間接関与
5. その他の関与
各パターンの解説の前に、「NPCとは何ぞや」というところから考えていきましょう。
NPCから考えるシナリオの方向性
「NPCとは何ですか?」と聞かれて、みなさんは何と答えるでしょうか?
「一般人」
「GMが動かすキャラクター」
「PC以外の人」
どの回答もそれなりに正解です。
全く分からない方のために解説しておくと、NPCとは「ノンプレイヤー・キャラクター」の略で、日本語訳すると「プレイヤー・キャラクターではないキャラクター」となります。
では「プレイヤー・キャラクター」とは何かというと、例えば今この文章を読んでいる貴方がTRPGのプレイヤーだとして、貴方自身がそのTRPG内で担当するキャラクターを「プレイヤー・キャラクター」と言います。
ちなみに貴方自身の事は「プレイヤー」と呼び、略すとPL。
貴方が動かすキャラクターである「プレイヤー・キャラクター」はPC。
そしてPC以外のキャラクターである「ノンプレイヤー・キャラクター」はNPCとなります。
話が少し前後しますが、貴方と同じくゲームに参加しているPC以外の全てのキャラクターをNPCとTRPGでは言います。
※システムにより略称や定義が多少異なる場合もありますが、当ブログでは上記のように定義します
さてNPCが何か分かったところで、もう1つ質問します。
(敵モンスターを含む)NPCが最初から最後までいない環境で、TRPGのシナリオは成立すると思いますか?
多くの人が頭を悩ますと思います。
これはYesともNoとも取れますが、NPCがいない環境では著しくシナリオの幅が狭まるのは明らか。
という事は逆に言えば、NPC次第でお話(シナリオ)の幅は大きく広がります。
TRPGシナリオ・フレームワークでは、そんなNPCの立ち位置を5つのパターンに分けて、各NPCがどのようにシナリオに関与するのかの関係性を見ながら、シナリオの方向性を考える。
さらにはプレイヤーの思考や物語の進ませ方のハンドリングについても、考えてみたいと思います。
NPCの立ち位置①:協力的な直接関与
まず1つ目はPCに対して協力的で、かつ直接的に関与してくるNPCです。
これは依頼を持ちかけたり店舗で売買をするようなNPCではなく、メタ的に言えばPC同様に詳細なキャラクターシートが存在し、戦闘時にも実際にダイスロールを交えて参加するようなNPCです。
このNPCの特徴は、シナリオやもっと大きなお話(キャンペーン)に直接的に関与するケースが多い事です。
もちろんダイス目によって(不慮の)死を遂げる可能性もあるかもしれませんが、それでもシナリオへの関連性は高いでしょう。
ちなみにPCの人数が少ない状況で、ゲームバランスを調整するためのNPCについては、このパターンに連動しません。
あくまでも「シナリオに関係するNPC」という立ち位置で考えた場合、直接関与をするNPCというイメージにて考えるようにお願いします。
NPCの立ち位置②:協力的な間接関与
2つ目はPCに対して協力的で、かつ間接的に関与してくるNPCです。
これは誰もが分かりやすいNPC。
①の例に挙げたようなPCに依頼を持ちかけたり、商品の売買をしたり、情報を惜しげもなく教えてくれたりするようなNPCです。
①のNPCと比較するとデータ的には雑なキャラクターかもしれませんが、存在感を示せばシナリオはおろか、キャンペーンや町の顔にもなる存在でしょう。
NPCの立ち位置③:対立的な直接関与
3つ目はPCに対して何かと反論したり、敵対心から実際の攻撃をしてくるようなパターン。
ライバルと言えるような間柄や、仇敵などの関係性をもつNPCです。
なおラスボス的な位置ではなく、①の真逆の位置として詳細なデータがあって、且つ対等に戦闘が行えるNPCがこのパターンです。
NPCの立ち位置④:対立的な間接関与
4つ目は間接的に嫌がらせをしたり、あからさまに否定的な態度を示すようなNPCです。
③に比べると、コチラこそがラスボスと言えるもの。
数値的なデータがあったとしても、この存在を知ったばかりのPCには太刀打ちできないようなNPCも中にはいるでしょう。
他にも得体のしれないフィクサー(黒幕)として存在するかもしれません。
いずれにせよ、PCの行動を阻害するような立ち位置で行動するNPCが該当します。
NPCの立ち位置⑤:その他の関与
最後の5つ目は上記に該当しないパターンです。
ただ挨拶をするだけのNPCもいるでしょうし、お話の都合上、犠牲にあうだけの存在もいるかもしれません。
いずれにせよ「PCに対してなんら関心もなく、直接的にも間接的にも関与しないNPC」がこのパターンに当たります。
シナリオの変化はNPCのパターン変化
さて、上記5パターンを網羅したところでシナリオに多く登場するNPCはどんなパターンが多いでしょうか。
②の協力的な間接関与をするNPCは、どんな物語・ドラマやアニメ、ゲームにおいても重要な立ち位置。
この存在がない、もしくは少ない状況の場合、物語の進行が鈍くなってしまいます。
また④の対立的な間接関与の頻度(行動を阻害される回数)が多くても、PCの行動は鈍くなってしまうでしょう。
これらの関係性を見ていくと、①協力的な直接関与や②協力的な間接関与は、シナリオを前進させるポジティブな作用が働きやすい事。
逆に③対立的な直接関与、④対立的な間接関与は、シナリオを後退もしくは動きを鈍らせるネガティブな作用が働く事がわかります。
TRPGは各人で話と選択をしながら進めるゲームではありますが、コンピューターゲームのように選択肢が狭まれていない分、溢れかえる自由度の中、何をして良いか分からなくなることがあります。
特にTRPG自体やシステムの初心者が多い場合は、手探り以前に何が出来て何が出来ないのかが分からず、GMの助け舟も理解できず行動出来ないシーンも少なくありません。
そんな状況でも「みんなアニメや小説の展開で慣れているから」という理由で、③や④が多く登場するシナリオを展開すると、GMが思い描いた展開にお話が進まないという事があります。
逆もまたしかり。
慣れたシステムでのサークル内のセッションにて、気を効かせて①や②のNPCが多く登場するシナリオを展開しても、NPCの話そっちのけで、各PCが好き放題やってお話が壊れることもあります。
もちろんPLの資質やTRPGのモラルに関わる部分もあるでしょうが、シナリオに登場するNPCの性質によってもお話の質は変わってきます。
普段シナリオを展開させることにおいて、自分がGMを務める際に上記①~⑤の中で、どのパターンのNPCを多く登場させるのか。
またこれらパターンを配置する事で、シナリオ的にPLがどっちの方向に進むだろうかと考えながらNPCのキャスティングを行うと、最終的なシナリオのゴールへの進め方も見えるのではないかと思います。
TRPG自作シナリオ作成法 #3【NPCの立ち位置設定】:まとめ
今回はシナリオを設定するうえで、そのお話の中で動くNPCについて、以下のパターンを紹介しました。
2. 協力的な間接関与
3. 対立的な直接関与
4. 対立的な間接関与
5. その他の関与
具体的に、これらNPCパターンを使い分ける事によってお話の中身はガラリと変化します。
例えば毎回②の情報屋や依頼人がクエストを持ってくるパターンを、①からの依頼や③から不意に獲得した情報にするだけでも、ニュアンスが変わってきます。
また状況描写を行う中で①~④だけの情報を伝えるのではなく、⑤から挨拶されるシーンも交えて雰囲気を伝えれば、その場の情景や空気感なども伝えられるでしょう。
シナリオとして(GMをやる自分が)裏切りの展開が好きだからとか、障害があった方が面白いと③や④を多く登場させる事も良いですが、そのような展開のPLの心理やシナリオ内容を事前に考えながら物語を構築すれば、気色の違うシナリオを展開できると思います。
NPCのパターンを侮ることなく、シナリオを作るうえでのキャスティングを考えてみてください。
なお次回はTRPGシステムに合わせる作業を踏まえて、シナリオ自体の「背景」や「導入」などを考える、シナリオ設計についてお話します。
その他、起承転結に根差したシーン制で構成を考えるシナリオプロットの組み立てについても解説しますので、コチラの内容もご覧ください。
また自作シナリオ作成法の全体像や各種リンクは、以下の記事で確認できます。
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