こん◯◯わ、ikarushです。
前回は自身のコールセンター体験記から、うつ気味な症状になったことをお話ししました。
そんなうつ要素と少し関連のある、そして受電業務と切っても切れない「クレーム」に焦点を当てて、対処法などを考えてみようと思います。
という訳で今回は、
クレームに対してどんな対応をすれば良いか知りたい。
という疑問に答えます。
このブログを書いている私ikarushは、過去15年の間でコールセンターのオペレーターやヘルプデスク歴7年、その他にQ&Aページの新規作成や2次対応も複数年携わって来ました。
そんな自身の過去や、仕事をした環境の中で得た知識を元に。
そしてWebなどで確認できる知見などから、回答させていただきます。
クレーム対応時に重要な3つのポイント
今回のクレームの話。
先に結論から言うと、以下の3点が重要なポイントであると考えています。
- 冷静になる事
- 傾聴力
- 解決を目指す気持ち
それぞれ詳細をお話しします。
クレーム対応要素①:冷静になる事
クレームと言うと「暴言」や「恫喝(どうかつ)」、「声を荒げる」みたいなイメージですよね。
実際にそういう声を耳元で聞かされると、誰もがみな不快感を覚える。
そして中には恐慌(しどろもどろになってどうすれば良いか分からなくなる)状態に陥ってしまう方もいます。
かくいう自分もスレトスには非常に弱く、例えば東日本大震災の直後の余震や、原発事故の放射能漏れニュースみたいなものにひどく怯え、震源付近ではなく首都圏にいるのに「どうしよう!西日本方面に逃げなきゃ!」みたいな事になったくらい。
そのくらいストレス耐性がありません。
そのようなストレス耐性の弱い人はコールセンターのクレームについても、相手の変貌ぶり、怒声と暴言のオンパレードに自分を見失ってしどろもどろになり、普段通りの対処が何もできなくなります。
クレームで怒鳴る人と言うのは、(たぶん)過去に怒鳴って上手く成功を収めた事があるので、今回も怒鳴り散らす事で相手を力づくで抑え込もうとしているのです。
ただコールセンターのオペレーターも仕事でやっているので、そんな暴力であっても逃げるわけにはいきません。
そこで冷静になる事がとても重要になってきます。
方法は人によって様々、自分が短時間で落ち着く方法を使えばいいでしょう。
例えば無理やりにでも「お待ちください」と保留して、ひと呼吸置く。
可能であれば座ったまま背伸びをして、リラックスするのも良いでしょう。
近くに上長やSVなどが空いていれば、クレームになった事を暗に伝え、いつでも助け舟を出してほしいとサインを送っても良いかもしれません。
いずれにしても冷静になる事が重要です。
冷静で心を落ち着けられないと、普段のいつものような対応は出来ません。
人のやり方を真似ても良いし、自分独自の方法でも構わないので、冷静に心落ち着ける方法をまずは取るようにしましょう。
クレーム対応要素②:傾聴力
「コールセンターの仕事内容」の記事の中で紹介した傾聴力ですが、クレーム対応時でもこの傾聴力は重要です。
コールセンター業務の中で習得できる各種スキルについては、以下の記事を参照ください。
クレーム中の客はあなたを怒鳴り、叱りつけて来ます。
そんな暴風のような中で、突破口を見出すのに重要なスキルが傾聴力になります。
最初から怒鳴っているにせよ、話の途中から怒鳴り始めたにせよ、怒鳴る原因が何かしらあり、その怒りのはけ口としてクレームという手段を使っているのだ…という事を念頭に置いてください。
つまりこのクレームの怒りは、原因が解消されれば終わるという事。
通常の普段通りの電話応対になるのです。
怒鳴り声の中で語られる「こうして欲しい」という客のニーズを聞き分けて、怒りが収まってくるタイミングで建設的に物事を整理しながら、相手と意識の同調を図りましょう。
自社のサービスで対応出来る/出来ないに関わらず、思いやりをもって対応すれば大抵の方は理解くださいます。
――相手が「最恐最悪のクレーマー」でない限りは…
クレーム対応要素③:解決を目指す気持ち
最後はクロージング(電話の切電と問題の解決)まで持っていく流れを見出すための、解決を目指す気持ちについてです。
最初に挙げた重要な要素①:冷静になる事が上手く出来ていない場合、傾聴力もですが「私にはこの対応をどうにもできない」と、クレーム対応を早々に諦めてしまい、結果クレームの強さが増すことになったり、客の発言に耳を貸さなかった事で電話を替わったSVが、再度内容を聞きなおして時間が掛かるなどの悪影響が出てきます。
またSVの側であっても、とりあえずのクロージングを目指す事を念頭に置くがために、何らクレームの根本問題を解決できないままクロージングし、再入電時に再びクレームに発展するという、悪循環を生む可能性もあります。
後日、別のブログ記事でクレーム種別について解説しますが、相手が「最恐最悪のクレーマー」でない限りは解決出来る問題がほとんどだと思うので、思いやりをもって粘り強く対応することが望ましいと考えます。
ここで言いたいことは、解決を目指す気持ちがないまま、とりあえず電話を切りたいがためにクロージングを目指すという姿勢ではダメ、という事を分かっていただけたら嬉しいです。
人は怒りを捏造(ねつぞう)する
まとめに行く前に、自分の中でクレームの解釈が大きく変わった出来事についてお話しさせてください。
この段落のタイトルにした「人は怒りを捏造(ねつぞう)する」は、とある本の中にある項目題のものです。
それは今なお国内でロングセラーを続け、近隣諸国に翻訳本が出て称賛されている本、「嫌われる勇気」から取ったもの。
自分としてはこの本に2018年の初めころに出会ったのですが、本全体の内容に愕然としたことを今でもありありと覚えています。
今回本のレビューについては割愛し、クレームに(本の中では「怒り」に)ついての解釈をここで書き記すようにします。
この本はフロイトやユングと同世代に生きた、アドラーなる心理学者の考え方について書かれている本なのですが、それによると、大声を出し相手を屈服させるために出すもの、それが怒りであるとしています。
また別のところでは、怒りとは目的をかなえるための手段である。
怒りっぽい人は、怒り以外の有用なコミュニケーションツールがある事を知らず、そのため怒りに任せたコミュニケーションをするのだと伝えています。
これらを表す例として、以下のような話を紹介しています。
母と娘がケンカをしているところで家の電話が鳴りました。
母がその電話に出る際「もしもし?」と言う声には怒声が混じっていましたが、相手が顔見知りの人間だと分かると、急に普段のやわらかい声になり少しの時間会話して電話を切る。
その後、娘の元に戻り再び怒りをぶちまけてケンカを始める。
この例で伝えているのは「怒りは出し入れできる道具である」という話です。
電話の相手によっては怒りを引っ込めて、娘に対してはまた怒りを持ち出すという事を意識的に出来る。
それが怒りなのだと説明しています。
この内容を読んだ時、もちろん自分でもカッとなって怒鳴るという事は過去に何度も経験がありましたが、客観的に物事を捉えれば、怒りによって事態を「優位に」収束させようという思惑があったんだろうと感じました。
この本を読んで以来、人は「相手を屈服させるために怒りを持ち出すのだ」という事が、真理であると感じるようになったのです。
まだこの本を読んでないという方には是非読んでもらいたいのですが、「活字だけの本を読むなんて絶対無理」とか、「時間がないから読み切れそうもない」と言う方は、この項目題である「人は怒りを捏造する」がP32~P35にあるので、そちらを書店などで立ち読みしてみてはいかがでしょうか。
クレーム対応時に重要な3つのポイント:まとめ
今回お伝えしたクレーム対応の要素3つ
- 冷静になる事
- 傾聴力
- 解決を目指す気持ち
これらはバラバラの要素ではなく、セットで効果を発揮するものと解釈ください。
また特に重要なのは、要素①:冷静になる事です。
不機嫌で怒りを交えた声であなたをおびやかそうとしても、まずは冷静で、マイペースな自分の心で対応する事を心がけましょう。
こればかりはクレームの電話に何度か当たって、耐性を上げていくしか方法はありません。
ロールプレイングで練習したとしても、(ロールプレイの)相手が見知った人間では、どこか「最適解」を求めてしまい、リアルなクレームのストレス耐性が上がるかどうか疑問です。
もちろんクレームを受けても即応できる準備も必要ですので、ロールプレイングや周囲の方、諸先輩方のクレーム対応術を真似して、事前に対策を練るのも良いと思います。
そして色んなクレームを受ければ、どのような対処が望ましいか。
このブログに書いてある以上の事も見えてくるかもしれません。
そうなったら自分の周囲の後輩たちに自らのクレーム処世術を伝え、チーム全体の対応力アップにつなげることが出来れば、なお良いだろうと思います。
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