前回はドラゴンクエスト・サーガ・TRPG(以降、DQsTRPG)の職業を考える、その前編という事で、ドラゴンクエスト(以降、DQ)にどんな職業があるのか。
それら職業がテーブルトーク・ロールプレイングゲーム(以降、TRPG)的な非戦闘シーンでも活躍できるようにするには、どんな職業デザインが望ましいか。
また全体的なキャラクターバランスなどを踏まえて、定性的な(性質についての)内容をお伝えしました。
今回はその後編をお伝えしようと考えていたのですが、職業別の数値的なお話をする前に「HP」や「きようさ」などの能力値について先に解説しようと思います。
各職業の初期パラメーターを考えたり、全体的な数値設計にも影響を及ぼす部分だと思うので、職業の後編の前に今回は能力値とその仕様についてお話ししていきます。
目次
自作ドラゴンクエストTRPG作りの旅【能力値を考える】

DQにおいて能力値とは、ある種「共通認識」のようなものがあると考えています。
ちょっと言葉が固いので分かりづらいですね(苦笑)。
カンタンに言うと「HP(ヒットポイント)」とか「攻撃力」と言えば、誰もが「あ~ハイハイ」と分かるようなイメージ。
例えばケガや病気になった事を表現するのに「HPが減った」とか、「ホイミしてくれよ」と日常の中で伝えても、誰もが「あ~ハイハイ」と分かるような感じがDQにはあるんじゃないかなと思います。
ただそんな「DQの共通認識」もナンバリングタイトルによって微妙に違っていますよね。
例えばDQ6~8で登場した「カッコ良さ」という能力値が、最近のタイトルでは「みりょく」になっていたり。
DQ3~5では「うんのよさ」という能力値がありましたが、以降のタイトルでは存在しません。
これら能力値をDQsTRPGでも設定し、どのような場面でそれら能力値を扱うのか。
またそれ以外のパラメーター(例えばレベル、ダメージ、経験値など)についても確認しようというのが今回の中身です。
「能力値」と「パラメーター」の定義を確認する
具体的な名称や仕様を考える前に、言葉の定義を明確にしておきます。
「能力値」を定義する
当ブログ、DQsTRPGで言うところの「能力値」とは、キャラクターの能力を数値として扱う際に『判定に使用する数値』。
もしくは『判定に使用する数値を増減させる目的のもの』という扱いで言っています。
難しい言葉ばかりで申し訳ない…
具体的に言うと『判定に使用する数値』とは例えばHPやMP(マジックポイント)など、ダメージを受けた・呪文を使ったという時に「減少する数値」などという意味です。
またDQsTRPGはTRPGですので、「何かの数値をを基準とした判定」を行う際にも、『判定に使用する数値』である能力値が基準になります。
「パラメーター」を定義する
次いでパラメーターについて。
これは前述の「能力値」も合わさった「数値データ」という意味で発言しています。
「HPは今いくつ?」と聞かれて「24」と答える。
「今何ゴールド持ってる?」と聞かれて「さっき皮のよろい買ったから58ゴールドだね」と答える。

前者HPについては能力値パラメーターと言えるでしょう。
後者ゴールドは能力値ではないので、ただのパラメーターと言えます。
私自身としてはこのようなニュアンスで「能力値」と「パラメーター」を話している。
まずはその部分をご承知ください。
「非戦闘時の判定能力値」と「戦闘用の能力値」を分けて考えた
次に、実際の能力値デザインについて話をしていきます。
戦闘以外の場面での判定能力値を「基本能力値」とした
まず能力値の名称ですが、これはDQらしさを出したくて全て「ひらがな名」にしました。
実際のキャラクターシートの能力値表が以下のようになるのですが、「ちから」「すばやさ」「きようさ」「かしこさ」「うんのよさ」「みりょく」という6項目で設定しています。

DQの共通認識を歪めて、例えばこれを「筋力」「敏捷性」「器用度」「知性値」などにすることは可能ですが、もうその時点でDQじゃないと感じませんか?

またこれら能力値は基本的に「非戦闘時の判定」に使用する基準値となります。
例えばカンタンに言うと「重い物を持ち上げる判定」、「難解な古代文字、それも少しかすれて見づらい本を読む判定」、「お城にいる貴族に好印象を与えられるかどうかの判定」。
こんな判定をするときに、基本能力値を使います。
戦闘で使用する能力値を「戦闘能力値」とした
次いで見ていただくのは「ダメージ」や「かいしんのいちげき」など、戦闘で扱う能力値についてです。

こちらは前述の基本能力値がひらがなである事を踏まえて、わざと「漢字名」にしました。
これら能力値は基本的に戦闘のシーン以外では使用しません。
武器のダメージに加算できる「攻撃力」や、敵の攻撃ダメージを防ぐ「防御力」。
「かいしんのいちげき」の判定で使用する「会心力」などです。
ちなみに最新のDQでは能力値名は基本的に「ひらがな」が採用されています。

また、必要な計算はコンピューターが行うテレビゲームでは、色々な数値を並べる必要はありません。
その辺り見せるべき項目が少ないことで、ゲームを楽しむプレイヤー側も考えなくて済むのですが、TRPGには細かい判定要素が欠かせませんので、リアルにやるのであればパラメーター項目はどうしても多くなってしまいます。

各種パラメーターの数値デザイン
数値デザインというのはもしかしたら少し聴き慣れないかもしれません。
こちらもカンタンに言うと「小数点も使うのか」とか「桁数はいくつまでにするのか」などの話です。
ファミコン時代のDQはソフト1本の容量が1MBしかないため、データ入力もやりくりが大変だったとどこかで聞いた記憶があります。
例えばDQ3には「◯◯のタネ」というアイテムが存在し、HPやたいりょくなど、能力値を何ポイントかアップする事が出来るのですが、最大値が255(0~255の256数値)と決まっていたので、能力値が255の時にタネを使うと0になったりしたのでした(バグではありません)。
これら内容が書いてあった文書を探したのですが見当たりませんでした(苦笑)。
ちなみにドラゴンクエストの生みの親とも言えるプロデューサー堀井雄二氏唯一の著書(?)である「しんでしまうとはなにごとだ!」の巻末には「堀井雄二のゲームデザイナー入門」というコーナーがあります。
中にはゲームデザイナーに必要な事や、実践的ロールプレイングゲームの作り方など、短いながらも本人の言葉で語られた内容が収められているので、ドラクエ好きな方や、日本的なJ-RPGが好きな方。
さらには自分と同じTRPGやボードゲームの自作を考えている方は、目を通してみると良いかもしれません。
話が横道にそれてしまったので、元に戻します。
DQsTRPGはコンピューターゲームではないので数値の上限など存在しません。
しかし例えば「ギガデインを唱えた!スカルゴンに36ポイントのダメージ!」と聴いて「やった!」と思うでしょうか?
私を含めたDQユーザー的には「ギガデイン」=200ポイント前後のダメージと認識してしまっているので、仮に36ポイントがそのゲームの中で高い数値であっても、大ダメージを敵に与えた印象は受けません。
そういう訳で数値デザインはある程度重要です。
蛇足的な内容を書いて長くなってしまったので、ここは結論として設定しているそれぞれの最大値を掲載しておきます。
・基本能力値の最大値:150辺りを想定
・戦闘能力値の最大値:150辺りを想定
・HPやMPなどの最大値:450辺りを想定
・ダメージの最大値:明確な基準は設けてないが999が最大値
・経験値(EXP)の最大値:明確な基準なし
・所持金の最大値:明確な基準なし
自作ドラゴンクエストTRPG作りの旅【能力値を考える】:おわりに

非情にカンタンではありますが、能力値についての内容はこれでお終いです。
なお判定や戦闘ルール、キャラクターメイキングやレベルアップなどなど。
能力値を引き合いに出すシーンは様々ありますので、能力値の解説・説明がこれで全部と言う訳ではありません。
また職業編の後編では今回紹介した各種能力値を絡めて、より定量的な視点でのお話をするようにします。
それと今回断片的に紹介していたDQsTRPGのキャラクターシートですが、今現在のキャラクターシートを最後に載せておきます。

キャラクターシートのデザインや作り方については別途行いますので、詳しくはそちらお待ちください。
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